競売物件の入札は難しい?

〜初心者でも失敗しないための基本ガイド〜


■ 「手続きが面倒そう…」という不安に答えます

初めて競売に参加される方から、よく「入札手続きが難しそう」「ミスが怖い」といった声を聞きます。
実際、記入漏れや書類不備によって無効になるケースもあるため注意が必要ですし
私もチェックミスで最高価で入札したものの落札できない失敗もしました。。
裁判所は訂正を受け付けてくれないと考えてミスなく書類を作成する事が大事です。

競売は自己責任

だからこそ、正確に準備を整えて挑むことが大切です!


■ 入札保証金と返金の流れ

入札時には売却基準価格の2割を「保証金」として振り込みます。
落札できなかった場合でも、およそ1週間ほどで返金されます。
立地の良い物件ほど基準価格が高く、保証金も高額になるため、ある程度の自己資金が必要です。

競売は誰でも参加できますが、融資(ローン)を受けられる金融機関は限られるため、資金計画も重要です。


■ なぜ今、競売市場が注目されているのか

競売物件は、通常の市場価格よりも安く設定されています。
そのため、売却基準価格付近で落札できれば即転売でも利益が見込めるケースも。
東京23区・横浜・川崎などでは落札価格が上がってきていますが、
依然として「再生型仕入れ市場」としての魅力は健在です。

ルール通り行う事が大事です!

ルールを理解して正しく手続きすれば、誰でもチャンスがある
また、通常だと出てこない物件が出てくる可能性があるのも競売の大きな魅力です。


■ 入札の流れ(全体像)

競売の入札は、大きく5ステップです。
1〜2回経験すれば、流れはすぐに掴めます。

① 入札したい物件を探す

公式サイト「BIT(不動産競売物件情報サイト)」で最新情報を確認。
情報公開日は限られているため、スケジュールを事前に把握しておきましょう。
※競売物件は宅建業法の適用外です。瑕疵担保責任(契約不適合責任)はありません。


② 管轄裁判所から入札資料を入手

入札はルール通りに進めることが重要です。
記入ミスや書類不備があると、最高価で入札しても無効になる場合があります。
定期的に入札する方は、書類を複数部入手しておくと効率的です。


③ 保証金を振り込む

入札前に裁判所指定口座へ保証金を振込。
できれば前日までに完了させましょう。
ネット振込は不可の場合もあるため、金融機関窓口での手続きが確実です。


④ 入札書類を作成

必要書類は次の通りです。

個人の場合

※入札書
※入札保証金振込証明書(保管金受入手続添付書を貼付)
※陳述書
※住民票(マイナンバー記載なし)

法人の場合

※入札書
※入札保証金振込証明書(同上)
※登記事項証明書または代表者事項証明書
※陳述書
※宅建業免許証(宅建業者の場合のみ)

POINT: 陳述書の「チェック欄」に誤って✔を入れると別紙が必要となり、
書類不備で無効になることもあります。注意しましょう。


⑤ 入札書類を提出

裁判所へ直接持参するのが確実(郵送も可)。
封筒は必ずのり付け&押印。封をしていないと無効になります。
提出前に「記入漏れ・押印漏れ・添付忘れ」がないか最終チェックを。


■ 落札の確認とその後

入札から開札までは約1週間。
結果は裁判所に行かなくても、BITサイトで確認できます。
実際に現場で名前が読み上げられる瞬間を聞きたい方は、開札場へ行くのもおすすめです。

落札後は、当日特別な手続きは不要。
次順位買受の申し込みをしたい場合のみ、開札日に現地対応が必要です。


競売の入札は、どのような流れで進みますか?

裁判所の公告の確認から入札、開札まで、決められた手順で進みます。入札は、裁判所が定めた期間・方法に従って行われ、期限や書式、保証金の不足を誤ると無効になる可能性があります。事前に流れを把握し、余裕をもって準備することが大切です。

ステップ内容実務上の重要ポイント
① 裁判所の公告・物件情報を確認裁判所の掲示板や情報公開サイトで、入札対象となる物件の基本情報や競売のスケジュールを確認します。入札期間と開札日の確認を最優先で行い、スケジュールを厳守します。
② 3点セットの確認・現地調査裁判所で閲覧できる「3点セット」(物件明細書、現況調査報告書、評価書)を詳細に確認します。あわせて可能な範囲で物件の現地調査を行います。現況調査報告書で、物件内の残置物(ゴミなど)や占有者の状況を確認し、引渡しにかかるリスクを把握します。
③ 入札価格の検討3点セットの評価額や市場価格を参考に、ご自身の希望価格を検討します。裁判所が定める「買受可能価額」(最低入札価格)を下回る入札は無効になります。
④ 入札書類の作成・提出裁判所指定の入札書を作成し、添付書類とともに提出します。同時に、入札保証金を裁判所に納付します。入札保証金は、通常、買受可能価額の20%にあたる高額な金額です。保証金を納付しなければ入札は無効となります。
⑤ 開札・落札者の決定開札期日に裁判所で入札が開封され、最も高い価格を付けた人が「最高価買受人」として決定されます。最高価買受人になると、裁判所が定める代金納付期限までに残りの代金を納付する必要があります。期限を過ぎると保証金が没収されます。

競売入札は、情報確認、現地調査、価格検討の事前準備が成功の鍵です。特に、裁判所の定める期限と書式、そして高額な入札保証金の準備は必須です。落札後も残代金納付の期限が厳格に定められており、手続きに不備があると保証金が没収されるリスクがあるため、余裕をもって各ステップを確実に実行することが重要です。

Q2. 入札価格はどのように決めればよいですか?

評価額だけでなく、落札後に発生する総費用とリスクを考慮し、再生・運用に無理のない「上限価格」を逆算して決めております。入札価格は、裁判所の売却基準価額(評価額)だけを基準にするものではありません。価格決定の際は、以下の費用と見通しもご参考ください。

要素内容注意点
① 再生費用想定される修繕・リフォーム費用や、ゴミ屋敷の場合は特殊清掃・撤去費用。見積もりが甘いと、落札後に費用が膨らみ赤字になるリスクがあります。
② 処理費用占有者や残置物の処理(明渡し訴訟、強制執行)にかかる費用。処理が長期化すると、追加費用や固定資産税などのランニングコストがかさみます。
③ 出口の見通し再販(転売)や賃貸運用で、確実に利益が出るかどうかの周辺相場に基づく見通し。価格を上げすぎると、落札後の売却や賃貸運用で利回りが確保できず、運用が難しくなります。

競売物件の入札価格は、事前の徹底的なリスクと費用計算がすべてです。特に競売物件は、通常の物件にはない明渡しや残置物処理の追加コストが発生するため、評価額に惑わされず、これらのコストを織り込んだ損益分岐点を明確にした上で、冷静に上限価格を定めることが成功の鍵となります。

入札で失敗しやすいポイントはありますか?

形式面の不備による「無効」と、資金・スケジュール計画の甘さが、競売入札における二大失敗ポイントです。競売入札は厳格なルールに基づいて行われるため、小さなミスが大きな失敗につながります。

失敗ポイント具体的な内容対策
書類の不備・記載ミス入札書の氏名、住所、金額の記載ミス、または押印忘れ提出前に、裁判所の記載例とチェックリストに基づき、複数回確認する。
保証金の誤り入札保証金の金額不足や、納付方法(小切手の種類など)の誤り裁判所に事前に確認し、確実に買受可能価額の20%を納付する。
期間の遵守入札期間を1日でも過ぎて提出すること。郵送の場合は、到着日を逆算し、余裕をもって発送する。

【実例で学ぶ最大の教訓】

陳述書の「自己の計算において買受けの申出をさせようとする者」の欄は、名義貸しや代理入札の場合にのみ記入・チェックする箇所です。自己入札(本人名義)であるにもかかわらず、その横のチェック欄にレ点を入れてしまったために、最高価額での入札が「追加書類不備」として無効になった事例があります。記入・チェックは、必要な箇所のみに留め、空欄指定箇所は絶対に触れないでください。

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