競売とは? その仕組みをシンプルに解説します

  • 競売とは、債権者が貸付金や債務の回収のために、裁判所の管理下で債務者の不動産を強制的に売却する手続きです。
  • 一般の不動産売買とは異なり、裁判所が定めたルールと情報(三点セット)に基づき、誰でも入札に参加できます。

競売物件の事件番号(ケ)と(ヌ)の違いとは?

競売物件には「(ケ)」と「(ヌ)」という2種類の事件番号があります。
見慣れない記号ですが、実はこの違いを理解しておくことで、入札のリスク判断や手続きのスピード感を正確に読めるようになります。

事件番号(ケ)=担保不動産競売事件

「(ケ)」は 担保権(抵当権など)を実行する競売 のこと。
つまり、ローンなどの債務不履行が原因で始まるケースです。

具体例

住宅ローンを組んだ所有者が返済できなくなった場合、債権者(金融機関など)は裁判所に申立てを行い、担保に取っていた不動産を売却して貸付金を回収します。
※約3〜6か月の滞納で申立て
※裁判所が「担保不動産競売事件」として差押え
※売却代金を債権者へ配当

この流れが「(ケ)」事件です。このパターンの競売物件がほとんどです。

その他の例

※相続で共有者の意見が分かれた場合の競売申立て
※管理費・修繕積立金の滞納による競売(管理組合が申立て)
※相続で共有者の意見が分かれた場合の競売申立て


事件番号(ヌ)=強制競売事件

「(ヌ)」は 債務名義(=裁判所の確定判決など)に基づく強制執行
つまり、「約束した支払いをしないために、裁判で確定した債務を不動産で回収する」ケースです。

具体例

交通事故の損害賠償や裁判上の支払い命令が確定したのに、支払いが行われない場合などに、被害者側が申立てを行い、加害者の不動産を強制的に売却して回収します。

入札時の注意点

競売市場では、(ケ)事件が大多数を占めていますが、
(ヌ)の強制競売は法的関係が複雑で、占有者が退去しないケースもあるため、慎重な判断が必要です。

ここまでのポイント

※(ヌ)案件は現地確認・権利調査が最重要
※入札判断前に三点セット+占有調査のダブルチェックを推奨

事件番号の違いで変わるリスクと対応

項目(ケ)担保不動産競売(ヌ)強制競売
原因ローン・債務不履行債務名義に基づく強制執行
申立人金融機関・管理組合・共有者など被害者・債権者など
手続担保権の実行強制執行(債務名義)
難易度★★☆☆☆(一般的)★★★★☆(複雑)
対応のポイント物件調査と入札価格の見極め法的リスクと占有確認を徹底

よくあるご質問をもとに分かりやすく解説します。

競売物件ってやっぱり危ないんですか?

やはり危ないケースもあります。
ただし、それはリスクを理解せずに入札するからです。
明渡し・瑕疵・占有状況を事前に把握すれば、
競売は“危険な投資”ではなく“判断が重要な投資”になります。
入札しない判断も大事になる事もあります。

物件の室内を見ないで入札するのは本当に大丈夫?

100%安全とは言えません。
だからこそ、図面・評価書・現地確認・過去事例を総合して
「想定できる範囲までリスクを洗い出す」ことが重要です。
ゼロワンロジックでは、想定外が起きにくい物件を推奨しております。

落札後に住んでいる人がいたらどうなるの?

競売物件ではよくあるケースです。
交渉・法的手続き・明渡しまでを想定せずに落札すると失敗します。
当社では、占有者がいる場合の交渉ノウハウも蓄積しておりますので占有状況を前提にした戦略が大切になってきます。

競売物件は住宅ローンが使えない?

制度上は、競売物件でもローンを利用することは可能です。
民事執行法82条2項に基づく「ローン制度」を利用すれば、
競売不動産を担保にして融資を受け、所有権移転登記と担保権設定登記を
同時に行うことで、融資金を代金納付に充てることができます。

ただし、対応している金融機関が限られていることや審査や手続きのハードルも高いため、
実務上は自己資金を中心とした資金計画で進めるケースが大半です。

そのため競売では、
「ローンが使えるかどうか」よりも、
「ローンが使えない前提でも成立する資金計画」を立てることが重要になります。

競売は初心者でもできますか?

可能ですが、独学はおすすめしていません。
競売は一度の判断ミスが、そのまま大きな損失につながる市場です。
明渡し・占有状況・修繕リスクなど、表に出ない判断要素や経験したことのないケースも想定されるため最初はプロと一緒に進める方が安全です。

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